中日新聞 1月30日の朝刊に載っていたので、ご存知の方もいらっしゃると
思いますが、僕たちが公私共にお世話になった、名古屋の老舗ジャズバー
アスターのマスター(僕たちはアスター パパと呼んでました)が旅立たれ
ました。82歳、最後までカッコ良かったです!外は雨…今日はアスターに
ちなんだレコードばかり聴くぞ!最初はアート ペッパーの3曲入り7インチ
ライブ盤。知り合って間もない頃に頂いた物。何で自画像シールをジャケット
に貼っちゃうの!次にパパと知り合うきっかけとなったジェリー マリガンと
ポール デスモンドの競演盤。初めて来店された時「ただ者ではないな…無難
なところでジャズでもかけよっ」と思ってターンテーブルに乗せた一枚。音が
出て直ぐ「マスター、これマリガンだろ〜、一緒に写真撮ったわ!」「何者?」
次はセロニアス モンクのモンクス ドリーム。アスターのこのレコードには
サインが!アスターに来たモンク御一行と意気投合!そのまま東京入り。
テナー サックスのチャーリー ラウズのお背中ながす!!次はモンク御一行と
入れ替わりで羽田空港に到着したカウント ベイシー楽団を紹介され、家族
ぐるみのお付き合い。名前が刺繍されたツアージャケットをもらうほどの仲に。
次はベイシー楽団の中でも特に仲良しだったギタリスト 、フレディ グリーンの
唯一のリーダー アルバム。ご機嫌なレコード!次はペギー リー。コンサートに
行った時に、どうしてもサインが欲しくて、楽屋への通路で警備員ともめて
いると、ペギーさんが顔を出して「ボーイ カモン」のポーズ!次も女性
ヴォーカルで、パパとの恋人みたいなツーショット写真がステキな、キャロル
スローン。ジャケットは味気ないけど、とても良いライブ盤でアスターに居る
様な気がしました。7年ほど前にアスターが移転した時、当時アスターを切り
盛りしていた女性に頂いたレコード、サラ ヴォーンが抑え気味に歌った物。
マンデル ロウのギターの伴奏がすばらしい!次はジミー ジュフリー 3の
牧歌的スウィングの名盤。8年ほど前にアスターのレコードを整理していたとき
ずっと欲しかったこのレコードを見つけて「パパ、これ持ってるんだね」と
言うと「それはいいぞ。死んだらやるでええが!」……待ってられない僕は
一週間位後でレコード店で発見して買ってしまいました。ちょいちょいと
アスターに通っていたカミヤベーカリーさんも、アスターで聴かせてもらって
すっかり気に入って、ミルでCDを買ってくれったっけ。パパはカミヤさんの
パンが好きだったなぁ、僕たちも好きです。営業中最後はアート ペッパーの
レコーディング、ゴーイン ホーム。深夜のアスター、今日はそろそろ店じまい
かな、という頃によくやって来た年配のお客様。彼が来ると黙っていても
決まってかかるレコード。1曲目 ゴーイン ホームが流れるとパパも目を閉じて
いたっけ。その方がおっしゃっていました、「ホームはお母さんの居る場所、
天国のことなんだ。お母さんのところに帰るって曲なんだ」って。パパはいいな
お母さんもたくさんのジャズマンも待っていてくれるんだから。
焙煎が終わって10:30からジェリー マリガンのナイト ライツをB面A面の順で
聴いて、長い長いアスターの1日が終わりました。